米国におけるオープンペダゴジーの事例

オープンペダゴジー(Open Pedagogy)とは、オープン教材(Open Educational Resources: OER)の特徴を活かしながら教育現場において学習者の学習効果の向上に役立てようとする実戦のことを指します。ここではSIGレポート2018の内容をもとに、米国におけるオープンペダゴジーの事例を紹介します。

■オープンペダゴジーの分類

Brigham Young Universityの教員を中心とする研究グループであるOpen Education Groupは、オープンペダゴジーの具体的事例を以下の通り、5つの観点から整理しています。

1)Wikipedia記事の執筆
学生がWikipediaに掲載されていない記事を執筆したり、既存の記事を修正したりする活動をさせ、その取り組みを評価する。

2)映像音声素材のリミックス
学生が既存のビデオや音声を用いて自らの主張を伝えるコンテンツを制作する。

3)補助教材の制作
学生が授業で用いることができる学習ガイドやチュートリアルビデオを制作して、授業で用いる教材群に組み入れる。

4)テストバンクの制作
学生が講義の課題として学習内容の理解を評価することができるテストを制作する。

5)課題の制作
学生が相互に課題を作成して相互に利用し、自らの学習内容の理解を評価することに用いる。DS106というデジタルストーリーテリングの考え方を取り入れたオンライン学習コミュニティで実施されている。

■オープンペダゴジーの事例

具体的なオープンペダゴジーの事例は、Open Pedagogy Notebook(https://openpedagogy.org)という事例紹介サイトにおいて紹介されています。このサイトでは、実践者が自らのオープンペダゴジーと捉えられる実践を投稿し共有しています。ここでは本サイトの中から、特徴的な事例を3つ紹介します

事例1:Wiki Educationの事例
Wiki Educationは、教員が授業においてWikipedia上にある授業で扱ったトピックを改善するための支援を行っている。学生がこのような活動をすることで、授業のコンセプトを現実世界の文脈で理解し、将来の就業機会に役立つ技能を得て、インターネット上における誤情報を正すことを理解し、学習そのものに愛着を持つことに寄与すると期待されている。米国サンフランシスコ大学をはじめとする複数の大学がこの取り組みに参加している。

事例2:モンテゴメリー大学の事例
米国メリーランド州のモンテゴメリー大学では、持続可能な開発目標(SDGs)に基づいたサービス・ラーニングを学ぶ教育プログラムに、オープンペダゴジーの考え方を取り入れ、教員間で再利用可能な課題をOERとして開発し共有している。この教育プログラムに参加する学生は、複数のキャンパスにおいて地域のコミュニティに関わりながらSDGsにおける17の目標を選択してサービス・ラーニングに取り組むが、彼らの学習目標や成果発表の方法について取り決めた課題を教員間で作成し、大学のWebページで公開している。これにより、教員間のネットワークを形成することと、最終的に学生の学習効果を向上させることが狙われている。

事例3:プリマス州立大学の事例
米国プリマス州立大学では、オープン教科書を用いている1年生を対象としたアメリカ文学の授業において、学生が大学において継続的に学び高い学習成果を得るために何をすべきかを指南する補助教材を作成した。その中には一般的なスタディスキルを学生の視点からまとめたものや、奨学金や住居環境など生活面にわたるアドバイスも含まれる。学生が自ら学習成果を高めるために相互扶助をするようなコンテンツを作成することで、学生の学習成果を向上させることが期待されている。

そのほか、Derosa and Robinson(2017)はオープンペダゴジーの事例として、心理学の授業において学生が既習内容をまとめた短いビデオを制作したり、学生が授業のシラバスに掲載するべき内容を提案するような取り組みを紹介しています。

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